BFフルグラント南米の旅 (5)

ボリビア−ラパスでの不思議な出来ごと
佐藤謙蔵

 サパタご夫妻の暖かい持て成しで、朝は8時頃までゆっくり休んで下さい、とのことだったが、2006年4月7日比較的早く目覚め、中庭に出て有名な真っ青な空を期待したのだが、生憎の曇り空で、しかし快適な気分だった。
 それを打ち破るように、7時半前にラパス・クラブの会長、ウィリー・オレジャナ(Sr. Willy Orellana)ご夫妻が慌しく訪ねてこられ、昨夜サンタクロス・クラブからの連絡で、詳細は不明だが、昨日、日本人3人がコパカバーナでボリビアへ入国し、その中の一人が病気持ちだとのことで、早速これから陸軍病院で、入国管理法上の健康診断を受けて頂くことになった。その結果如何では、強制帰国も有りうる等と話された。宿泊先のサパタ夫妻共々その通知の根拠を問い正しても、サンタクロス・クラブから連絡を受けての要望と言うだけで、佐藤さんの身柄を病院側に預けることに協力して欲しいと強請され、協力する以外に方法がなく、同意し朝食もそこそこに、念のため検疫証明書(イエローカード)を持参し、ウィリー会長夫妻と共に陸軍病院へ同行し、検査を受けた。
 結果は午後3時頃判明するとのことであった。しかし病気持ち云々の会長発言が納得できず、それにスペイン語で会話できない苛立ちと、ウィリー会長の未熟な英語での会話よりも、寧ろ日本大使館に頼ることを思いついて、持参していた庄司さん紹介の、元領事の西端国輝さんから、何かあればと旅先3ヵ国の外、南米の大使館の住所・電話リスト、それに一部大使への紹介状まで頂いていたこともあり、白川大使に電話を入れると、秘書が出て今所用で出張中とのことで、福永伸介二等書記官が応対してくれることになり、午後1時に面談し、陸軍病院医師の説明に対し、大使館は旅行中の日本人の人権を保護する立場から、本日午後5時までに、ボリビア側の入国査証情況調査結果を提出することで決着を計ることとなった。
 宿泊先に帰り待機していると、3時過ぎに大使館から電話があり、サンタクロスの領事館で日本人が昨夕から下痢で入院していることが確認され、現地クラブの受入れ担当者が、その日本人を佐藤だと判断して、昨晩ウィリー氏へ連絡して来たようで、人違いが原因だとの知らせだった。ウィリー氏も5時過ぎサンタクロス・クラブの受入準備の不手際による大失策だったことが分かり、私の同地への訪問日も間違えていることから、今回は受入れできないとのことで、結局ラパス市とコチャバンバ市のクラブでの滞在を長くして調整する結果となった。


[オレジャナ夫妻と日本大使館からの帰途、昼食に立ち寄った中華料理店の前で]